北海道で暮らしていた時、朝の目覚めで窓の外を見なくても、雪が降っている事に気づくという感覚があった。
うまく説明出来ないけど、そういう朝は静寂に包まれている。
その静けさで雪が降ったのだと気づくのである。
ちゃんと科学的根拠もあって、空気中を伝う音の振動が雪に吸収されるからなのだとか。
しんしんと降り注ぐ夜の雪とその静寂さは神秘的にさえ感じられる。
雪も少ない東京の雑踏の中ではそういった感覚はほとんど味わえず、忘れかけてすらいた。
暦上ではもう春もいいところだと思うけど、今朝は驚くほど寒い朝だった。
本来であれば春はまだかと首を長くして待っている頃だけど、三日前の金曜日の深夜、スノーボードをしに新潟へ向かった。
関越道で群馬県みなかみを超えた辺りから雪が振り始め、午前3時目的地の新潟についた頃には辺り一面は雪景色だった。
当然写真を撮りに来たわけでもないし、寝ないと次の日のスノーボードに影響しそうだったので、パパっと撮ったくらいなんだけど、当時の静寂さがフラッシュバックした。
ゆっくり、本当にゆっくりと舞い降りる雪と静寂に包まれた夜。
心地よい気分に包まれながら撮った写真には、その静寂さはあまり感じられず、もう少し時間をかけて撮れば良かったと後悔した。
その時の気分、温度、音を一枚の写真に残せるようになりたいものだ。