その季節にだけ撮れる花があるように、工場夜景もまた冬の風物詩のように思う。
ピリッと澄んだ空気の条件のみシャープに見えるからだ。
という事で、冬が終わる前に富士市の工場夜景を撮りに行ってきた。
いきなり感想を言うと、過去に行ったことのある主な工場地とはまた少し違う印象だった。行ったことあるのは川崎・水島・四日市・室蘭くらいだけど。
どう違うかと言うと、上にあげた工業地は地帯というのに相応しいくらい固まっているのに対し、富士のそれは点在している印象だった。
密集地には密集地の良さがあるのに対し、富士の点在加減にも良さがあった。
例えば川崎と比べた場合、工場の人たちが撮影者に対し多少なりピリついた雰囲気があるのに対し、富士のそれはどこかオープンな気がする。
工場夜景のサイト具合を伺ってもそれは明確で、富士の場合は積極的にPRしている(気がする)。そして例えばこの写真。水路と一緒に夜景が撮れるというその距離感もなんか魅力的だ。
まとまりがない分、一つ一つの表情が明確だったり、ダイレクトにその個性を感じ取ることも出来る気がした。
こういう路地先に工場というのも富士ならではないだろうか。
先日「コンセプト」という名前で記事を書いたんだけど、その時主催していたおっちゃんの煙突の街も富士だった。それはたまたまなんだけど。
この街は景色の中に煙突が馴染むのかもしれない。
俺もこの場所を撮りたいと思ったのは、東名高速を走るたびに目につき気になっていたからだ。
実はこんなに夜景夜景言っているクセに、最近は工場夜景にマンネリしている節があって、それは非現実感というか、大体おんなじ方向の色温度というか、そういういつも同じような表現からの脱却がしたいななんて思ったりしてて(要するにどこで撮っても大体似たような写真が撮れるみたいな)、色々手探りな部分はあるんだけど、今回はわりと夜景ではセオリーな、長秒をやめた写真が多い。
ようするに非現実よりも、煙の表情を捉えるようなものを意識した。
煙突と煙、そしてそのカタチは工場景色としてセットな気がしたのだ。
まぁ、その中でもこういうTHE長秒みたいな写真も撮ったけど。
ここは田子の浦という場所で、わりと高台みたいな所から富士山とセットで夜景が取れる場所。この写真で富士山が見えないのは、おそらくこの日が寒さのわりに空気が澄んでいなかったからなんとなく奥に尾根の様なものだけ見える。
ここに来たとき凄くキレイで感動したんだけど、自分の持っている千円のズームレンズ(広角側)で撮った写真でそのキレイさは伝えれているだろうか。。。
その辺りは技術不足も否めなくて、せっかくアウトプットする場があるんだからこういうキレイさを最大限に伝えれる技術も磨かなくては。
今度は夜景ではないこの地にゆっくり来てみたい。