風景写真をあまり撮らない理由に、その場の空気感を大切にしたいという部分がある。
いわゆる名所的な桜はもちろんキレイなんだけど、行き交う人々がふと見上げる程度の、身近に寄り添った桜の木の方が、人々のドラマが詰まっていそうで感慨深い。
だから誰が撮っても同じような、絵葉書的キレイ写真より、自分が感じたその温度を写真に落とし込めた時のほうが嬉しいし、人の好みを気にして撮るよりも、撮った自分らしい写真で人を引きつけられた方が最高だ。
桜って咲いてから散るまでが一瞬で、その一瞬を多くの人々が楽しみにしている。だけど当然花を咲かせていない時だってずっとそこにいるわけで、そんな誰もが見向きもしなくなるような影の部分も含め、その空気感が好きだ。
だから一年を通してあまり撮らない花の中でも桜の写真が一番多い。